kazunaマンチェスター反省記
東京で勤務する一研究者が、2006年9月から365日間、英国マンチェスターで生活しました。在英中のブログ(kazunaマンチェスター行状記)を受け継ぎ、英国の思い出や日本での生活を書き継ぎます。
15/07 Fountains Abbey
 前回、「次回の更新は火曜」と書いた。そして今日は火曜日。まあ今夜にでもゆっくり更新すればいいや〜、と気楽に考えていたが、よく考えてみると、日本の方が英国より先に日付が変わってしまうのである。
 このブログを読んで下さっている人は、おそらく大半が日本在住であろう。ということは、英国時間で16時までに更新しないと、「火曜更新」という一言が大嘘になってしまう。残り55分の勝負。勝ち目は充分。

 先月上旬、日本から会社の同僚が来た。私がちゃんと仕事をしているか監視に来た、という訳ではないと思いたい。夏休みシーズンには早いのだが、海の日の連休を利用して、短期間ながら遊びに来てくれたのだ。
 事前に聞いておいた。「イギリスでどこに行きたい?」 それに対する彼の返答は「チェスターかファウンテインズ修道院」 なるほど、うまい選択だ。前者はマンチェスターに近い都市で、中世の城壁が街をぐるりと囲み、その中に大聖堂が鎮座する、格調高い都市だ。後者はマンチェスターから車で2時間かかるが、田園の中にひっそりと立てられた巨大な修道院の廃墟。UNESCOの世界遺産でもある。
 彼は海外旅行の経験が少なく、特にヨーロッパは初めてとのことだが、この選択は実に巧みだと思った。日本で購入できるガイドブックに大々的に載っているようなスポットを選ばず、敢えてガイドブックの間隙を突くような微妙な選択。私としても、どちらも興味はあるのだが、チェスターは1回訪れたことがあるので、今回はファウンテンズ修道院へ。

8420FountainsAbbey
 ファウンテンズ修道院については、公式サイトを参照のこと。英国に散在する、巨大な修道院の廃墟の一つ。
 どうしても修道院と言うと、少数の修道士がひっそりと自給自足の隠遁生活を営んでいる、小規模の建物を想像してしまうが、イングランドの修道院(abbey)には巨大なものが多い。サイズが大きいということは、それだけ財力が豊かだったことを表している。中世においては、教会権力が世俗権力(国王)に並ぶほどの栄華を誇っていたという世界史知識も、なるほどと頷かせられる威容である。

8563abbeyriver
 修道院は川の上に建てられている。と言うよりは、川の流路を変更して修道院の下を通るようにした、と言う方が正しいようだ。土木工事で地形を改変することも厭わなかった修道士達。
 イングランド国王は教会権力の隆盛を脅威と感じ、ついにヘンリー8世は修道院打壊しを全国的に命じた。この修道院も例外ではなく、修道士達は解散させられ、建物と土地は都市実業家へと売却された。修道院を造る石材はところどころ剥がされ、新しい屋敷を建てるのに使われた。
 同じような歴史を辿って、今は見るべくもなくなってしまっている修道院も多いのだが、ここは比較的、石が残されている方だと思う。それがゆえに世界遺産の指定を受けているのだろうか。もしイギリス旅行に来て、時間が無くて修道院遺跡を一つしか見られないのなら、ここは間違い無くお薦めの一つ。ただし、他の観光地とは距離が離れているので、効率的な観光プランにはならないかもしれない。

8755Pond
 修道院に隣接する土地には、後世、貴族の邸宅と庭園が作られた。完全に人工的な形の池。趣味は悪くない。
 確認していないが、おそらくBBCなどの歴史ドラマ(大河ドラマ?)の収録現場に使われたこともあるのではないだろうか。イギリス人(特に中流階級以上)は自国史が大好きで、歴史を扱った映画やドラマは今日もなお作り続けられている。近世の貴族の生活舞台が、ここまで良好な状態で保存されている場所は、英国でも多くは無い。

8814deer
 なぜか鹿までいる。カメラを向けると、威嚇するような渋い表情。東洋人の顔は見慣れていないだろうから、彼らも態度がきつくなるのだろうか?と考えていたが、後ほど売店でガイドブックを見てみると、そこに載っていた写真の鹿も、やはりしかめっ面をしていた。昔、奈良で見た鹿はもっと柔和な表情をしていたような気がする。

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 ここまで書いて、15時34分。日本時間で23時過ぎ。よし、間に合った。いつもと違う文体で、いつもより長々と書いたが、何とか約束は果たせた模様。
 (別に今回だけではないですが)コメント、お待ちしております。

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【2007/07/31 23:48】 | 日帰り旅行 | トラックバック(0) | コメント(0) |
14/07 Quarry Bank Mill
 この日は、日本から遊びに来ていた友人達が帰るということで、朝、マンチェスター空港まで送って行きました。無事、彼女達を見送り、11時頃に暇になったので、空港近くのQuarry Bank Millという工場へ。
 工場と言っても、既に操業は終えていますが、ナショナルトラストが管理して博物館として運営されています。

8179QuarryBankMill
 工場。実際は横にも奥にも続いています。
 「マンチェスターは産業革命前後に繊維工業で発展した街」という教科書知識は間違いではなくて、ここも実際に紡績工場です。羊毛、綿がぱんぱんに詰まった袋から、繊維を糸状に紡いで取り出し、それをさらにボビンに巻き付けて、そこから布を織り上げていきます。…と文字で書いてもイメージは湧かないので、実際の機械を見てみましょう。

8221MillMachine
 操業は確かに止まっていますが、機械は幾つか現役で稼動しています。もちろん、観光客向け。
 糸が高速で巻かれていきます。回転体ですし、かなり危険な機械だと思われるのですが、なかなか見ていて飽きません。しかし労働環境として見ると…そうとう劣悪でしょう。なにせ、騒音がひどいのです。耳栓は必須。

 実際に動く機械の他にも、繊維の種類(羊毛、綿、絹、化学繊維)や特徴(耐水性、風合い、強度、等)についての展示が多く、しかも繊維を触ったり顕微鏡で覗いたりしながら説明されていくので、かなり分かり易いです。じっくり見学するなら2時間はかかるでしょう。子供達もたくさん来ていて、体験型装置に夢中になっていました。

8226chimney
 ところで、これ、何の写真だか分かりますか? ヒントは1枚目の工場全体の写真です。

 実はこれ、1枚目の写真に写っている高い煙突を、下から覗きこんだものです! 煉瓦でできている煙突ですが、中には鉄製の排気管が通っていました。煙突を下から覗きこんだのは人生初の体験です。煉瓦に囲まれた狭い道を見上げていると、よくもまあこんなに高いのを立てたものだと関心します。

8182MillGarden
この工場に限ったことではないですが、産業革命期のイギリスでは、少年少女が貴重な労働力として酷使されていました。そのような「徒弟」たちの住居施設が工場の外れに建っており、予約制で見学できます。この日は、ツアー開始30分前に到着したのですが、ぎりぎり定員に間に合いました。
 「徒弟の家」と言うのですが、寝室のほかに教室や台所、医務室がありました。そして家の前の庭では、野菜や薬草などの実用作物を栽培していました。このかかしは、その畑に立っていたものです。…イギリスのかかしって、日本と同じデザインなんですね。万国共通なのでしょうか…??


<告知>
ちょっと軽く旅に出てくるので、次の更新は来週の火曜になります。行先は南イングランド。しかし、今、南部は大雨に伴う洪水で大変という噂…次の更新が「洪水レポート」にならないように祈っています。

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【2007/07/25 06:52】 | 日帰り旅行 | トラックバック(0) | コメント(0) |
30/06 イングランドの水族館
3週間ほど前の話になりますが、マンチェスターから車で1時間ほどのところに大きなショッピングモール(アウトレット)があります。そこに買い物に行ったのですが、予定のものがちゃんと見つかったので、買い物を早めに切り上げ、近くの水族館に行って来ました。アウトレットモールには家族連れがたくさん来ますから、やはり家族で楽しめる水族館を作るのは理に適っています。

行ったのは“Blue Planet Aquarium”という水族館です。ちなみに、イングランドに来てから水族館に行ったのは2回目です。1月にKingston-upon-Hullという港町に旅行した時に、“The Deep”という近代的な水族館に行きました。Blogにも書いたのですが、覚えていますか?

7008BPentrance
入口から賑わっています。当然、家族連れが多いです。日本だとカップルの方が多そうですが、こちらでは圧倒的に家族連れです。カップルはどこでデートしているんでしょうか?

7059BluePlanet
いくつか、魚に合法的に触ることのできる水槽がありました。周りには、「魚に触った後は手を洗いましょう」の掲示がしつこいくらいにあり、手洗い所も整備されています。

7157BPtube
かなり広い水族館で、水槽の数も多いのですが、一つ異常に巨大な水槽が有り、その下に透明なトンネルが通っていました。トンネルの下は動く歩道になっていて、魚が泳ぐ様子を下から覗き見ることができます。

7108BPundertube
動く歩道の下から写真を撮ってみました。魚の動きが早く、ぶれてしまっていますが、それが却ってきれいな画を作り上げているように…思えませんか?すいません、ちょっと強引ですね。

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【2007/07/22 03:06】 | 日帰り旅行 | トラックバック(0) | コメント(0) |
11/07 仕事の近況
 予定された留学期間も、残すところあと2ヶ月ばかりとなってしまいました。
 1年なんて早いものです。まだイギリスでやりたい事・行きたい場所は山ほどあるのですが、仕方ありません。仕事も旅行においても、これまで以上に密度の濃い2ヶ月を満喫できるよう励まねば。

 仕事の方は、予定していた実験は一通り終わりました。本当はもっとやりたい実験条件も頭にあるのですが、時間切れです。あとは結果をまとめ、論文の形に仕上げなければなりません。
 この10ヶ月、多くの実験を行い、データが相当溜まっているので、莫大な作業量となることが予想されます。最終的に全てのデータを使うわけではないですが、それでも学術論文としてのレヴェルに達するものを作り上げるには、まだまだ相当の根気と作業時間が必要なようです。

7004desk
 オフィス(研究室)の風景。ランチは、家から持ってきたおにぎり。
 書類が散乱していますが、この背後の机にも、その引き出しにも、さらに横のロッカーにも、まだまだ書類が山積みされています。そのほとんどはデータ。数字の並んだ表か、あるいはエクセルで作ったグラフ。これをどうまとめるか…ゴールはまだまだ先で、見えません。ゴールの日付だけは決まっているのですが。

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【2007/07/11 17:32】 | 仕事 | トラックバック(0) | コメント(2) |
24/06 北ウェールズの沿岸地方
ウェールズに行くのはこれで3回目。
マンチェスターから車で1時間20分ほど走ると、イングランドとの境界線を越えてウェールズに入ります。今回は、日帰りということもあり、マンチェスターから遠い中央部や南部には行かず、北部を回ってみました。

6494CaernarfonCastle
まずはCaernarfon Castleというお城。イングランド人がウェールズを一通り制圧した後、アイルランド人に対抗するために作った出城だそうです。ウェールズはイングランドとアイルランドに挟まれているという事情から、紛争の歴史が長く、城砦が至るところに残されています。これもその一つですが、かなり無事に保存されている方で、城だけでなく城壁もばっちり残っており、今なお街を取り囲んでいます。
石積みの内部は部屋や廊下が入り組んだ構造になっており、ところどころに坂や階段もあるので、なかなか目的地にすんなり行けません。行き止まりになっている小部屋や袋小路も多く、せっかく来た道を引き返すことも。たぶん隠し部屋や秘密の通路なんかもあるんでしょうね。

6749A4086
上のお城は海の入り江沿いにあるのですが、今度はそこから山道へ。石だらけの、荒涼とした風景です。当然、採石場もありました。
イギリスにしては珍しく羊がおらず、霧が少し出ていたこともあり、かなり寒々しい雰囲気です。こういう情景が好きな方にはお薦め。道路名は、A4086号線です。Aというのは、幹線国道を表します。

6683LlanberisStation
石だらけの山を登っていく観光用の登山鉄道もあります。もう終電が出ていたので乗れませんでしたが、駅で写真だけ撮ってきました。晴れた日に乗れれば、さぞかし絶景なことでしょう。

6904Conwy
(まだ明るいですけど)夕方、山から下りてきてまた海辺の街に戻ってきました。Conwyという港町で、ここにもやはりお城が残っています。写真の遠景に、幾つか円塔が見えるでしょうか。
イギリスでは、今の時期、夕方17時から18時頃、沈みかけの夕陽が最も明るく地上を照らします。12時頃の日中よりも、体感光度は明るい気がします。この限られた時間、風物は眩しい光に照らされ、少し違った表情を見せます。上の写真で、その微妙な色調が再現できているかは、正直言って自信がありません。写真のレンズは、人間の目(と、映像信号を画像処理する脳)を再現しきれませんから…。やはり、世界中の色々な場所に、自分の身を実際に置いてみないと、見えてこないものが多いようです。

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【2007/07/05 00:37】 | 日帰り旅行 | トラックバック(0) | コメント(1) |
10/06 Lyme Park
もうだいぶ前の話になってしまいますが、6月10日の日曜日にLyme Parkという公園に行ってきました。
parkという名前が付いているので公園と訳しましたが、日本の都会にあるような狭い公園ではなく、広大な敷地に森も林も崖も平地も屋敷も池も滝も、全て揃っている、何でも有りの施設(巨大公園?)です。自然公園と訳そうかとも思ったのですが、古くは貴族の邸宅に付属する敷地で、野生の自然ではなく人手によって管理された自然(森林、草地)なので、それも少し違う気がします。

公式サイトはこちら。(英語)

4874LymePark
貴族と言うか地主の方が住んでいたお屋敷です。目の前が庭園になってて、人工池や庭園や散策路(自然林を装いつつ、希少種がけっこう植わってたり)が整備されています。上の写真は、その散策路から、池越しに屋敷を撮ったものです。
イギリスにはこの種の屋敷がたくさん残され、一般公開されているものもかなりの数に上ります。もう、本当にたくさんあるので、どの地域に旅行してもこういう屋敷にぶつかります。

4947LPGarden
これはわりと人工的な庭園。上から見ると綺麗ですよね。その効果を出すために(?)、屋敷の土地より一段低いところにありました。

4998LGHill
屋敷から離れると、広大な草地が広がっています。欲張って全域を回ろうとするとへとへとになるので、気の向くまま勝手に散歩するのが吉かと。きっとここに住んでいた地主様も、全部を回ってはいなかったでしょう。
この公園の土地はわりと起伏があり、草地をめぐる散歩道もアップダウンが多かったです。そのわりには川とか池とか、水が少ない風景でした。僕が庭園施工管理技士で、しかも資金が潤沢に使えるなら、間違いなく水路を縦横に張り巡らせるのですが…管理費とか、馬鹿にならないんでしょうかね。

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【2007/07/03 01:35】 | 日帰り旅行 | トラックバック(0) | コメント(0) |
プロフィール

Author:kazuna
東京都葛飾区に住み、北区王子へ通勤する技術系会社員。
趣味はオーケストラ、外国語勉強、将棋、野球を観に行くこと、サッカーをTVで見ること、外国で挙動不審な散歩。

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