kazunaマンチェスター反省記
東京で勤務する一研究者が、2006年9月から365日間、英国マンチェスターで生活しました。在英中のブログ(kazunaマンチェスター行状記)を受け継ぎ、英国の思い出や日本での生活を書き継ぎます。
25/12 東京都響「第九」演奏会
 年末恒例の「第九」、今年は一つしか聴きに行かない。インバルがマーラー2曲を振った余勢を駆って(?)都響の第九を担当する。私にとっては今年最後の公演となる。日にちごとに会場は違うのだが、最も音響の好きな文化会館へ。

 流石インバル、期待に違わぬ、一風変わった面白い第九を聴かせてくれた。特に素晴らしかったのがチェロとコントラバスで、低弦がここまで主張してきた第九はCDですら聴いたことがない。それを生で聴けたのだから、貴重な体験となった。もっとも、低減部の殆ど見えない最上階後列右側で聴いたのだが。しかし姿は見えないでも音が伝わってきたというのは、やはり凄いことだ。また、トランペットも大きく吹かせていた。4楽章のフルコーラス部分にリズムで合いの手を入れるところだ。
 楽章ごとに見てみると、第2楽章は最も内容の薄い退屈な楽章なのだが、今日は違った。特に弦を激しく弾かせ、テンポも弛緩させず、アグレッシヴな疾走が楽しめた。一方。第3楽章は最も現代風で面白い楽章なのだが、今日はやはりそうだった。指揮者の強い吸引力の下、オケが一体となり(金管は休憩中だが)、マーラーを思わせる美しい旋律を作っていた。第4楽章は、オーケストレーション、テンポともに不自然で危うい楽譜なのだが、できる限り巧みに処理し、流麗に奏でていた。

 なお、聴いたのが天井に最も近い席ということで、天井に跳ね返された音がよく響いてくる。ブレンドされた間接音響と言ってもいいかもしれない。そういう音を聴いていると、オーケストラの個性というものはオーケストラヒットの一瞬の強奏に表れるのかもしれないと思った。その音色を堪能するには、今回のような席は(partial viewになってしまうが)好適と言えるだろう。

[テーマ:クラシック | ジャンル:音楽]

【2007/12/30 21:17】 | 音楽 | トラックバック(0) | コメント(0) |
22/12 アイノラ響 演奏会本番
 正確に言うと、今回は演奏会でなく、東京新聞主催のイベントに音楽担当として出演するだけなのだが、感覚的にはいつもの演奏会と変わらない。9時に会場入り、午前中のうちに最終練習を終え、午後は声と合わせて最終リハーサル。
 第1部の講演中はヒマなので、ロビーの展示を見たり、楽屋でモニターを通して講演を聞いたりして過ごす。
 第2部がオーケストラ演奏。今回の曲は、シベリウス作曲の「交響詩『クレルヴォ』」。一般には交響曲として扱われることも多い。確かに、5楽章もあって、全体で80分もかかる大規模な曲なので、交響詩というタイトルは似つかわしくない気もするが、物語に沿った明確なプログラムが全編を通して細かく規定されており、もし“交響曲”というジャンルを絶対音楽的な色で規定するならば、この曲はそれに当て嵌めることはできない。
 演奏はリハーサルの方が良かったような気もする(本番は疲れが出た?)が、まずまず良かったのではないかと思う。…というのはオケだけの話で、合唱、独唱ともに本番は申し分のない素晴らしい演奏で、オケメンバーは舞台にいながら聞き惚れてしまった(はずだ)。その証拠に、少なからぬ場所でボウイング間違え・出番見落とし等が多発した模様で、これが全て映像に記録されていると思うと実に恐ろしい。音だけで、すなわちCDなどで聴くだけならば、一定水準には達していると思うのだが、DVDなどで映像を確認してはいけない。

 いつもこのブログで、私が聴きに行ったコンサートを野次馬根性で論じているのだが、今回もその流儀にならって少し客観的に振り返ってみると…全体的に丁寧で繊細な演奏を志向していたと思う。あくまで「志向」であって、実際どうだったかは伏せておくが、指揮も演奏者も高い理想を持っていたのは間違いない。指揮の新田先生は、数多くの練習を通して、場面ごとの情景や人物の心情を具体的に教えてくださって、皆で描くイメージを共通のものにしようと励まれていた。毎回の合奏で得るものが多く、教わったことをメモしては家に帰ってからクレルヴォのスコアに書き写した。
 こうしたイメージの積み重ねが、最終的に具体的な音色に反映されてくるものだ。アマオケだし、私が乗っているくらいなので、技術的に瑕疵があるのは当然(かと言って許されるものではない)なのだが、音色はけっこういいものになってきたと思う。なお、ここで言う「いい」とは、具体的には「シベリウスの音楽に適した音色」という意味で、決してフランスやイタリアの音楽には適していない。しかしもともとそのようなコンセプトのオーケストラなので、今後も更に特化・深化させていきたい。

 ということで、次の演奏会は4月13日。交響曲第5番。アイノラでは第1回定期演奏会に続き2度目の演奏となる。私は前回1stで乗ったので、今回は2nd Vn.で挑む。この曲は絶対音楽としての“交響曲”であり、具体的な物語は設定されていない。私は冬の雪景色をイメージしているが、(練習期間はともかく)本番は4月である。

 4月の雪、ご期待下さい。

[テーマ:クラシック | ジャンル:音楽]

【2007/12/24 13:50】 | 音楽 | トラックバック(0) | コメント(0) |
11/12 東京フィル
少し時間が経ってしまったが、12月11日の公演の感想を。

サントリーにて東京フィルの演奏会。若杉さん指揮で、1夜限りのプログラムだが、客の入りが少なめだった。12月の平日の夜は皆忙しいのだろうか。
曲目は頽廃期ウィーンの香り漂う濃厚な組み合わせで、演奏された作曲家順に並べるとマーラー→ベルク→ウェーベルン→シェーンベルク、となる。1曲目がマーラーというのも不思議な感じだが、『花の章』は優雅な小品なのでオープニングプログラムとしては案外適していた。今日の曲目の中で唯一演奏経験があり、思い入れも強い。気合を入れて聴いたのだが、東京フィルの演奏は実に繊細で、弦セクションもトランペットソロも一体となって幻想の世界を創り出していた。
続くベルクも好演で、特にメゾソプラノの林美智子さんの歌声が素晴らしかった。豊かな情感と透明感を兼ね備えており、申し分無し。前半最後のウェーベルンは、ベルクとは打って変わって巨大な編成(時間は短いのだが)であるが、ベルクで最後に歌われた夏の歌とうまくリンクする。分厚く構成された音世界を、華美になり過ぎない音色で丁寧に描いていた。
後半はシェーンベルクの大曲「ペレアスとメリザンド」、41分の単一楽章なのだから、オーケストラには非常な力量が要求される。今日の東京フィルは、音量のレンジはあまり広くなかったものの(ホールのせいもある)、多彩な音色を使い分け、優雅な物語を紡いでいた。指揮の若杉さんの持ち味が十分に発揮されており、オーケストラとしても好調な様子を伺えた公演だった。

[テーマ:クラシック | ジャンル:音楽]

【2007/12/18 19:58】 | 音楽 | トラックバック(0) | コメント(0) |
12/12 近況
 この前始まったばかりと思っていた2007年も、気が付けばあと3週間しか残っていない。このへんで近況をまとめてみる。

仕事;12月1日に部署を異動したので、まだ慣れない。今までと扱う材料が異なるので、覚えなければならない知識が多い。

研究;来年の学会に向けて原稿を作らねばならないのだが、その前にデータをもっと解析して有用な知見を導き出さねばならない。正月休みはその作業に追われるかも。

オーケストラ;12月22日の本番に向けて鋭意練習中。もう練習回数も数えるばかり。個人的にも練習が足りない感じだが、本番前はいつもそんな気持ちだ。

自宅;先週、新しい本棚を買ったので、わりと部屋が片付いた。今週は、年賀状作成に励む予定。

[テーマ:研究者の生活 | ジャンル:学問・文化・芸術]

【2007/12/12 22:37】 | 生活 | トラックバック(0) | コメント(0) |
29/11 ミュージカル“Woman in White”
 アンドリュー・ロイド・ウェッバーの新作。原作は19世紀のミステリー小説ということで、音楽・ストーリー両方に期待して出かけた。
 で、感想。まずストーリーについては、もともと文庫本3冊(日本語訳版)にわたる大部の話であり、ミステリーゆえにあまり省略もできないので、かなりスピーディーな展開だった。「普通のミュージカルならもうちょっとこの場面で引張るんだろうなー」というところもどんどん場面転換したり。しかし間が空きすぎることもなく、緊張感が途切れずに保たれ続けたのは、音楽のせいもあるが、演奏者(オケ)と舞台関係の装置担当者の好プレーの賜物だろう。
 ロイド・ウェッバーの音楽は期待以上。変拍子を多用し切迫感を煽っている。音階も(おそらく)臨時記号が多用され、不規則に跳躍する音程も多く、オケ・歌手ともに相当難しかったに違いない。しかしオケは小人数ながらも豊かな色彩で舞台の雰囲気を完璧に作り上げ、歌手も(声質に主観的な好みはあるものの)総じて迫力ある声で熱演していた。なおかつ日本語の発音ははっきりと素晴らしく、複雑なストーリーを巧みに聴衆に伝えていた。
 クラシック音楽もそうなのだけど、ミュージカルも、たぶん商業的な理由から、新作が産まれにくくなっている時代なのだと思う。それでも(ビジネスを味方につければ)このように華々しく新作が誕生するわけで、ぜひ今後も作品リストに新しい名前が増えていって欲しいと思う。やはりロンドン、ニューヨークに期待だろうか。

[テーマ:ライヴレポ・感想 | ジャンル:音楽]

【2007/12/03 00:14】 | 音楽 | トラックバック(1) | コメント(0) |
プロフィール

Author:kazuna
東京都葛飾区に住み、北区王子へ通勤する技術系会社員。
趣味はオーケストラ、外国語勉強、将棋、野球を観に行くこと、サッカーをTVで見ること、外国で挙動不審な散歩。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

友達申請フォーム

この人と友達になる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ